PowerPoint 2016でLaTeXを使って数式を表示する方法(Part1)

What's This?

この記事では,PowerPoint 2016で { \displaystyle \LaTeX} を使って数式を書くための方法について説明します。

Introduction

理系の学生として避けられないのが,研究発表です。

研究発表では,研究成果をそもそも作ることや,配布資料の作成など様々な準備が必要ですよね・・・。 特に理工学系の場合,数式が必要なスライド作成は大変です。

そこで,今回はPowerPointで数式を入れる方法をいくつか紹介したいと思います。

数式の入れ方

今回は,私ことLarkの環境で使える無料の方法を紹介します。

項目 内容 補足など
OS Windows 10 Pro 執筆時点で最新パッチ適用済
Office PowerPoint 2016 --
Tex TeX Live 2017 2016からアップデート済

PowerPointの「数式ツール」を利用する

まずは,PowerPoint 2016に元々付いている「数式ツール」 を用いる方法です。 元々ついてるので,インストールなどが不要で手軽でいいですね。

挿入方法

  1. 挿入タブの中の記号と特殊文字グループの中にある数式({\pi})のマークをクリック
  2. 「ここに数式を入力します」に半角英数で数式を入力

たったこれだけです。簡単ですね。

下付き文字や特殊な記号なども,数式ツールデザインタブから自由に入れることができます。 また,一部LaTeXの記法にも対応しており,例えば

E = m c^2

と入力しスペースキーを押すことで { \displaystyle E = m c^2} と変換することができます。

ただ,普段LaTeXを使っている者からすると,

  • 数式フォントに違和感Max
  • パッケージを追加してカスタムできない
  • LaTexのソースからコピペできない

といった問題があります。 そこで,以降ではLaTeXと連携して数式を挿入できる方法を紹介します。

その前に・・・

以降の方法では,LaTeXと連携するためにあらかじめLaTeXをインストールしておく必要があります。

このあたりのサイト(TeX Wikiなど)を参考にTeX liveなどLaTeX使える環境を整えておきましょう。(すでにplatexやghostscriptなどを利用可能な環境の場合,インストールは不要です)

pptTeX

pptTeX (Download)は,内藤氏によって作成されたPowerPointのアドインです。 インストール方法は作者のブログで公開されています。

注意点としては,インストール後にパスの設定が必要です。 これを忘れるとエラーが発生して上手く挿入ができないようです。 設定変更は,pptTeXタブのpptTeX optionsグループにあるConfigurationからできます。 私の場合は以下のような設定です。

パス設定項目 私の設定
LaTeX C:\texlive\2016\bin\win32\platex.exe
Input Text Encording Shift JIS
dvipsk C:\texlive\2016\bin\win32\dvips.exe
pstoedit for EMF C:\Program Files (x86)\pstoedit\pstoedit.exe
Temporary Directory C:\Users\ [ユーザ名] \AppData\Local\Temp\pptTeX

使い方としては,pptTeXタブのTeX ItemグループからInsertをクリックすることでエディタが起動するので入力しOKを押すだけです。 すでに挿入した数式を選択した状態でEditを押すことで,再度編集することも可能です。 また,Preambleを設定することでパッケージも利用できます。 ただし,日本語の入力には対応していないようで,半角英数しかエディタで入力することができません。 また,私の環境ではTrueTypeフォントを利用するオプションを利用すると, 動作が安定しないという感じでした。

蝶々(TeXTeX)

蝶々(Download)は帽子屋氏によって開発されたPowerPointアドインです。 インストール方法は解凍したフォルダ内のreadmeをご覧ください。

特徴としては,右側に常にエディタが表示されているため, 編集のたびにタブを切り替える必要がないことでしょう。 また,いちいちコンソール(黒い画面)が表示されないのも良いところです。 しかし,更新が止まっていることや,日本語入力が難しい点があり, 個人的にはいまいちな印象でした・・・。

IguanaTex

IguanaTex(Download)は海外で開発されたPowerPointアドインです。 このIguanaTexの特徴はなんといっても標準で日本語に対応している点でしょう。 また,更新は現在も続けられており将来的にも安心です。

そこで,次回はこのIguanaTexについて詳しく書こうと思います。

Conclution

今回は,PowerPointで数式を挿入する方法についてまとめてみました。 ざっくり表にまとめるとこんな感じです。

方法 LaTeX 日本語対応 Good Bad
数式ツール 不要 手軽 フォントやソースの再利用などに課題
pptTeX 必要 × 数式ツールと操作が似ている パスの設定が必要
蝶々 必要 ×*1 エディタが常に表示 更新が止まっている
IguanaTex 必要 更新が続いている 一部命令で表示が崩れる*2

他にも数式の挿入方法はあるかもしれません。 私が試したのはこれだけなので,もし知っている方がいれば教えてください。

次回は,IguanaTexについて詳しく書こうと思います。 ではでは~

*1:試してないがこちらの記事によると日本語化は可能らしい

*2:詳しくは次回の記事で(多分書きます)